ネパールの視覚障がい者施設を訪問して

国際部会 英語点字グループ 16期
健康福祉コース卒 吉本 清二

シルバーカレッジの英語点字グループは長年に亘り東南アジアの目の見えない子供たちに英語の点字 本を寄贈している。ネパールもその一つであるが、一度ネパールがどのようなところなのか、また、点 訳本がどのように活用されているのかこの目で確かめようと言うことになりネパール行が実現した。令 和元年11月の下旬にシルバーカレッジ英語点字グループの現役生6名とOB3名他に2名が加わって、 総勢11名でカトマンズにある視覚障がい者学生の寄宿舎を訪問した。訪問のついで?にカトマンズ市 内の世界遺産やカトマンズ近郊を散策しようと7日間(11 月 20~26 日)の行程を組んだ。

【カトマンズ空港にて】
関空から中国南方航空で広州(香港の北側に最近開港した超巨大空港)で乗り 継ぎ、一路カトマンズへ、日本とは3時間15分の時差。カトマンズのトリブバン国際空港は平屋建て の粗末な空港で、中国との経済力の差が歴然。空港到着後ビザ手数料30ドルを払おうとしたら受け取 りを拒否され、「日本人は円で3500円払え」と。但し、領収書には30ドルと明記されたまま。

【視覚障がい者の施設訪問】
目の見えない子供たちの中でも、 社会で自立できるようになりたいと願う貧しい家の子供を無償 で寄宿舎に入れ、奨学金を出して学校に通わせている日本人女 性二人だけのボランティア活動家がいる。その団体名が“ラリ グランスクラブ”(ラリグランスはネパールの国花でヒマラヤに 咲くシャクナゲ)。彼女たちは20年近くこの活動を続けている が、英語点字グループもその活動に賛同して7年ほど前から英 語点訳本の寄贈と言う形で協力してきた。今回訪問した寄宿舎 には4人の視覚障がい児が寮生活をしており、いずれも女子短 大生、他に若くして夫を亡くした寮母さんとその娘さんが暮ら している。私たちが訪問した時には、卒業生も3人参加して我々を歓迎してくれた。寮に持参した英語 点訳本の中でも特に気に入ってくれたのが「アナと雪の女王」、(原題 Desney Frozen)の1節を流暢な 英語で読んでくれたのには大いに感動した。自分たちの地道な点訳活動が役にたっていたと言う実感も 今までに寄贈した英語点訳の本棚 寄宿舎訪問時の集合写真 視覚障がい者歌手の演奏風景(左から2人目) 2 / 2 2/2 湧いた。寮の卒業生は、それぞれ社会人として自立しているようで、男の子はメディア関係の仕事、女 性の一人は小学校の先生、もう一人の女性は歌手として働いている。歌手の子がカトマンズの高級ホテ ルのステージで歌うとのことで我々もその演奏を聴きに行った。

寄宿舎訪問時の
集合 写真

【カトマンズ観光】
ネパールの首都カトマンズは標高1300mの盆地だが、亜熱帯地域なのでバナナ などの果物も豊富である。また人種はインド系の彫りの深い顔立ちの人やチベット・ビルマ系の日本人 に近い顔立ちの人など様々である。宗教もヒンドゥ教と古代仏教、更には独特のチベット仏教が混在し ている。主な産業は観光で、国自体がかなり貧しく、市街地でも旧型の車やオートバイがやたら多いの に対し、道路は整備されないまま、交差点の信号機も故障しているのか、ほとんど作動していなかった。 街の中を歩く時には、土埃と車の排気ガスがひどいのでマスクは必需品である。それでも町全体にアジ ア特有の活気があり、貧しいながらもたくましく生きる民族の凄さを感じた。また、街のあちらこちら に日本語学校があり、宣伝文句は「日本語を覚えて日本で働こう」とあった。観光の最後にカトマンズ 近郊まで足を延ばして、雲の切れ目の一瞬ではあるが雲の上に聳えたつ冠雪のヒマラヤを望むことがで き、もうひとつの旅の目的もかろうじて達成することができた。