むかしあそび研究会だよりNo.19(2022年4月)
発行責任者:会長 小林 健二
- 2021年度の活動は、オミクロン株の急拡大を背景に再び感染が広がり十分とは言えませんでした。今しばらく、コロナウイルスとの共存を模索しながらの活動が続きます。
- 当研究会は創立20周年を迎え、記念事業として①特別研修会、②研修旅行、③記念誌の発行の3事業を行いました。
- 活動の中心であるボランティア行事は、コロナ感染が小康状況にあった12月から1月にかけて学習支援事業を4小学校で開催。久しぶりに子どもたちの笑顔と出会えました。
むかしあそび研究会は、神戸市シルバーカレッジの卒業生と在校生(「こども文化」)の会員で組織されています。2001年5月9日、5人のメンバーで「むかしあそび研究会」を創立し、昨年、20周年を迎えました。何か記念事業をしようということで記念事業委員会を立ち上げ、①特別研修会、②研修旅行、③記念誌の発行の3事業を計画。コロナ禍の中で実施できるかどうか心配されましたが、無事に事業を終えることができました。次に、事業の概要を報告します。
◆ 特別研修会(野外研修会)の実施
特別研修会は、10月20日(水)、子どもの遊びの原点である野外に出かけ、創造活動や遊びを通して会員相互の親睦を深めることをねらいとして神戸市北区の「あいな里山公園」で実施しました。
開会行事に続いてネイチャークラフトづくりです。野山で集めたドングリなどを使ってシカやライオンといった動物、ヤジロベエ、ドングリこま、けん玉づくりに取り組みました。材料は多岐にわたり個性的ですばらしい作品が出来上がりました。その後、かまどを使ってのおにぎりや野菜たっぷりの味噌汁づくり、デザートにお茶、コーヒーなどの飲み物を作り、お腹いっぱいいただきました。食後は、ウクレレの伴奏による野外ソングを参加者全員で歌い、そして野外ゲームを楽しみ大いに盛り上がりました。この研修会を通じて、会員同士のコミュニケーションの大切さを感じた一日でした。 (参加会員数:47名)
◆ 研修旅行の実施
研修旅行は、11月20日(土)、好天に恵まれバス2台で湊川神社前を出発。姫路市香寺町の「日本玩具博物館」、同安富町の「奥播磨かかしの里」、神崎郡福崎町の「柳田國男の生家」などを巡りました。
最初の「日本玩具博物館」では、博物館の設立・運営に深く関わって来た井上館長から今日まで収集(約9万点)された経緯をお話しいただきました。その内容は『1963年に、1冊の郷土玩具の本と出会い、失われて行く子どもの文化財を後世に伝えたいと、全国を歩き収集を始める。現在6棟の展示ケースに6000点を展示。世界約160ヶ国、約9万点の資料を所蔵している世界屈指の玩具博物館である』とのこと(パンフから抜粋)。井上館長の収集への情熱と日本をはじめ世界各地から収集した玩具の多さにびっくり。今まで見たことのない数多くの玩具に見入ってしまいました。
次に訪れたのは、「奥播磨かかしの里」です。姫路市北部の過疎化が進む集落で、以前は28戸あった家が、現在は9戸(10数人の住民)のみが暮らしています。リアルなかかしにびっくりしながら散策していると、たまたま庭にいらっしゃった住民(Oさん)に声をかけて集落やかかしの話しを伺ったところ、「ここのかかしは私が作りました」との思いがけない返事。Oさんは、この集落で生まれ育ち、今は都会暮らしをしていますが、過疎化で寂しくなる故郷を何とか元気づけたいと、2011年からかかしの里づくりを始め、かかしの数は現在130体あるそうです。かかしを作るのはもちろん大変ですが、かかしは、道路沿いや田畑などに飾ってありますので雨ざらしのため、かかしの服は3ケ月も持たないとのこと。「着替えをしなければいけないのが大変。でもやり始めたことなのでほったらかすわけにも行かないとの思いで10年間続けてきた」と苦労話をしてくださいました。
私たちは、集落のあちこちにあるリアルな表情のかかしに思わず声をかけてしまいそうでしたし、なかにはかかしと同じポーズをとる人もいて、どちらが本物か見間違うほどの出来栄えで、昔懐かしいふるさとの原風景に癒されました。
その後、福崎町の辻川公園ではカッパと逆さ天狗の妖怪に出会い、柳田国男生家・松岡家記念館、もちむぎの館の見学と有意義な一日でした。コロナ禍の中、マスク着用や密を避ける等制約の多い中での研修旅行でしたが、久しぶりの友人との出会いを喜ぶ人、景色を楽しむ人、笑顔いっぱいの行事でした。 (参加会員数:51名)
◆ 記念誌の発行
20周年記念事業で労力を使ったのは、記念誌の発行です。ただ、10周年記念誌が発行されていましたので、それを参考にしながら20年間の資料収集が出来ました。20年のあゆみ、各分野の活動内容の紹介、20年間の活動記録など、思い出がいっぱい詰まった記録です。
20周年記念事業委員会の委員長は、編集後記で『記念誌から伝わってくるものは、会員の皆さんがむかしあそびの活動をとおして、次代を担う子どもたちの健全育成を願うゆるぎない愛情であります。最近実施された小学校の学習支援活動の情景を見ておりますと、環境が大きく変化してもむかしあそびをしている子どもたちの笑顔は変わることなく、幸せを感じるひと時でした』と述べています。
記念誌は、会員一人ひとりの活動への情熱の記録だけでなく、私たちの活動が子どもたちを中心に多くの人たちに受け入れられ、信頼されている活動の記録でもあります。
【文責:総務担当 才田】